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2000年01月01日
お知らせ
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小淵 瑞樹 Evolution 〜緊張と緩和〜
2025年5月23日〜25日埼玉県にて東日本実業団陸上競技大会が行われた。
東日本実業団は日本選手権への出場派遣標準記録を目指す舞台でもあり数多くの実力者が出場する大会である。
この大会の400m競技で見事優勝を果たしたのが小淵瑞樹だ。
「タイトルを獲得できたことは大きな収穫」と喜びをみせた。
一方で優勝タイム“46秒24”この記録については日本選手権では45秒台の選手が多くなるとレベルの高さを鑑み、自身も「日本選手権ではアベレージで45秒台を出したい」と意気込みを語る。
日本選手権は国内最高レベルの大会で今年は、9月東京で行われる世界陸上の代表選手を兼ねる非常に大事な大会だ。昨年パリオリピック選考レースとして行われた日本選手権での決勝の舞台に上るも惜しくもパリオリンピック日本代表入りを逃した小淵選手にとって特別な場所であり、一年間の成長を見せるにはこれとない舞台だ。
取材当日の前橋・玉山グラウンドは梅雨とは思えない暑い日だった。そんな太陽の光が痛いほどの差しの中も、大淵は表情前半部分のまわりに余裕がない。小淵選手は一走りずつ武藤コーチからのアドバイスと自身の感覚をすり合わせる作業を行う。武藤コーチからは物腰の柔らかい中にも具体的なアドバイスが入る。「バックの追い風をリラックスしてスピードをころさず走れるかだ。とにかくまず騒がず走るということ」言葉があった。小淵選手は後半部分の走りを得意としており、その長所を安定させ引き出すことを課題としている。
また今シーズン上向きの調子のオフシーズンに長い距離の練習とスピード練習をバランスよく行ったこと、そして今シーズン初めての大会で自信とが好転し力をなくし、精神的にゆとりをもって走れるようになったことを理由に挙げた。レースの中も「前半部分にリードされてもあがくのをやめた。」その日の気分と調子に操られていた部分が抜けた点が大きな成長だ。新しく何か取り組んだり大きな変化を作ったのではなく、積み重ねてきた経験が小淵選手が繕っていた力という皮を一つ剥いでくれた。
下の世代の成長も「焦りとしてではなく刺激として受け止め俯瞰して見られるようになった」と言う。元々気持ちが入りすぎて失敗することが多かった。「余裕を持った集中がフィットしている。」そんな精神面での充実を覚える武藤コーチの存在は大きい。400m競技という過酷な種目に孤独に立ち向かう中、陸上はもちろ人生の大先輩でもある武藤コーチはトレーニングのインターバル中も常に小淵選手とコミュニケーションをとり、時には小淵選手を笑わせる。あぁと思えば走りの話になると二人の表情にはスイッチが入る。絶妙な緊張と緩和の雰囲気をかもし出すコンビである。
パリオリンピック選考を終えた時小淵選手にとってオリンピックは?という問いに「夢の舞台であるが、まだ自分にはふさわしくない。」と語っていた昨年9月。
今回の日本選手権に向けた意気込みを語る小淵選手の目にはその時とくらべものにならない自信が輝いていた。「昨年よりも近づいている自信がある。」代表に二・三歩足りなかったところから、冬場に取り組んだ基礎が積み重なって今、土台となりブレが減った。」経験から一皮むけたメンタルと地道に練習で培った基礎が小淵選手を一つ大きくさせた。「アスリートとして今一番陸上を楽しめているし勝負も楽しい。心の底から優勝する気でいます。」と語る姿を見たら筆者までわくわくし、応援せずにはいられない。
昨年の9月新しい目標に掲げた世界陸上を掴むための大きな舞台「日本陸上競技大会」は2025年7月4日から国立競技場にて行われる。
2025年7月6日決勝の日レースでは最後の直線で小淵選手の走りが国立競技場の陸上ファンを沸かせることがだろう。進化した精神の緊張と緩和のバランスに加え増えた基礎の上で、最大の武器である後半の伸びのある走りを国立で…








